ディンクの考え方

ディンクの考え方

ディンクとはなにか? ちょっと哲学的(笑)ですが、あなたなら、なんと説明しますか?
- ノンボレーゾーン(キッチン)内にバウンドさせるショット
- ネットをギリギリ越えるよう下から上へ打つ浅いショット
- 相手にボレーをさせないショット
- 相手をミスさせるための忍耐のショット
- 相手の攻撃を不可能にするショット
- 若さに対抗する老獪な芸術ショット
単なる守備的ショットではない
どれもアメリカのピックルボール解説に書いてあった表現で、どれも正解なのでしょう。そんな中、テニス経験者の私が一番なるほどと思ったのが、「単なる守備的なショットとの考えを捨てるべきだ」という一文でした。
しびれを切らした相手にミスしてもらい、同じ1ポイント以上のショックを与えるというのは、最良の結果なのでしょうが、それ以外に自らが攻撃展開に持っていくための、「準備のショット」「メイキングのショット」というわけですね。こういう「戦略的」っていうの私、大好きなんです。
フォームやコツは語れるほど自信がないので、簡単にするとして、戦術的な教えをアメリカのガイドからいくつか抜粋したいと思います。
体の前で取る
わかっていても簡単にはいかない、というところですが、どの「教科書」にも大体あったディンクフォームのコツです。
- プッシュする(押して持ち上げる)
- 手首を使いすぎない
- 大きなテイクバック、フォロースルーはいらない
- ボールは常に体の前で取る
- 脚と腰など太い筋肉を使う
- 足を止めずしっかりフットワークする
- キッチンラインから無用に下がらない
個人的に一番意識しているのは、体の前で取るということでしょうか。テニスだとどうしても相手に自分の打つ場所を隠そうとして、ボールを引き込んでしまいがちです。
ピックルボールのコートの大きさでは、相手の逆をつくほどのスペースはありません。特にバックに角度のついたボールを送られた時、体の横で取ってしまい、自ら難しくしてしまっていると感じています。
ディンクにも種類がある
ディンクには「Dead dink」(死んだディンク)「Pressurized dink」(重圧をかけるディンク、アタッキングディンク)の2種類があるそうです。
「Dead dink」というと単に悪いだけのショットにも聞こえますが、相手がバンバン打ってくる超攻撃的なプレーヤーの場合や、こちらが、きちんと浅い位置にコントロールしたディンクを打っている場合は、安全かつ有効な一打となります。
逆にこちらが相手に甘い「Dead dink」を誘発した場合は、持ち上げるようにボレーしたり、急遽ハードヒットして相手ペアのセンターを抜いたりと、一転攻撃に転じることができます。
「Pressurized dink」とは角度をつけたり、回転をかけたり、相手を動かしたりと、相手により甘い「Dead dink」を強いるための攻撃的なディンクですね。当然リスクも伴います。
相手がナイスディンクを打ったら「リセット!」、「ニュートラル!」(戻しましょう!)なんて言葉もよくでてきます。相手に先手を打たれたら少し中央よりの安全圏に返して、次の展開を焦らず待つという考えです。
相手が角度をつけてきたら、ついついこちらも角度のつけあい合戦を挑んで、ネットしたりサイドアウトしてしまいますよね。攻撃的なディンクに対して、攻撃的に返すばかりではいけないということですね。
狙い所はクロス 足元?
ディンクショットは「準備のショット」であると言いましたが、では上手い選手はどこを狙って打っているのでしょうか? 初心者のよくある失敗例として同じ場所にばかり返してしまう例があげられていました。
相手の左右の足を交互に狙う
ディンクをうまくするコツとしてフットワークがあげられていましたが、その逆で「相手の足を混乱させる」のが大事だそうです。左足、右足、左足、右足と交互に打って、少しタイミングを変えて再び右足のように、相手のフットワークを乱すよう仕向けます。当然、バックが苦手なプレーヤーの方が多いので、最終的にバックを強いるのも効果的です。
大きなXを描く
キッチン内が埋まるように大きな「X」を描いたイメージを持ちます。その「X」を意識しながら、角度をつけた位置にボールを運びます。
クロスの方が距離もありネットも低いため、短いショットとなるディンクでは特に安全の恩恵をこうむれます。しかし、あまりに角度がついてネットとの距離がわずかになると、格段にボールを持ち上げるのが難しくなります。また自らがいるポジションから距離も出てくるため、ボールを打つ位置が地面に近くなります。フットワークのミスを誘発できるかもしれません。
ダブルスでパートナーがいる際、どちらがボールを取るかを意識することにも役立ちます。ボールが完全にストレート方向以外は、クロス側のプレーヤーが取るのが基本です。ペアがともに右利きの場合、かなりフォア側のプレーヤーがボールを取りに行くことになります。

外側に出しすぎない
「X」の理屈はわかってもらえると思いますが、ここで気をつけなければならないのが、あまりに外側ギリギリに、こだわりすぎることです。打ち合いが続くと、気持ち的に、どうしても、もっと角度を、もっと外側を、となりますが、まんまとコースを読まれると、相手はあの「必殺技」を狙ってきます! そう以前ご紹介した「ATP」や「アーニー」です!

ボレーかワンバウンドかギリギリのところ
もう1つ、狙える有効なコースがあります。相手の足元ギリギリ、ディンクするかボレーするか微妙な位置に、少し鋭いボールを運びます。相手は、ワンバンさせると、後方に足を下げさせられることになり、陣形を崩されます。またノーバウンドでボレーを選択すると、持ち上げる難しいボレーとなります。少しタイミングが遅れるとネットすることになるでしょう。相手に判断を迫り、ミスを誘さそい出します。「X」の左右だけでなく、前後に揺さぶることができます。
バリエーション
上記の狙い所はいずれも正解なのでしょうが、最も大事なのは、単調にならないことです。ショットのペース、スピン、方向を変えて、さまざまなエリアを狙います。相手の読みを外したり、考えさせることです。こここそが「老獪」「忍耐」と呼ばれる理由なのかもしれません。
基本はクロス
相手のボディーや、ダブルスでセンターを強襲する場合は別ですが、体の正面に向かって飛んでくるボールは、キッチンラインから身を乗り出してボレーするのが、簡単になります。想像してもらえばわかりますよね?
またこんなチュートリアルもありました。1本の4メートルほどの棒の先にボールをつけます。まっすぐにすれば、相手がボレーできそうなギリギリなところになりますが、斜めにすれば、相手がキッチンラインを踏まなければ、打てないような、いい位置に落ちることがはっきり分かります。
意図がない限りは基本クロス。極力まっすぐは打たない。ダブルスで違う相手を狙いたい場合などはストレートになります。
とはいえ、相手にナイスショットを打たれたら、中央付近にクロスでニュートラルに戻すことも忘れないでください(ム、難しい)。

コートサイズを知る
後方での打ち合いより、3分の1以上、縦が短いコート上での攻防になります。その分、ストレートとクロスの距離の差は大きくなります。コート形状による違いを認識することが上達につながるようですね。
いずれにしろ「ディンクを制するものはピックルボールを制す」の格言?は正しいはずです。かくいう私「ピックル坊や」も「忍耐」が全然足りません。ジリジリとした長期戦になっても勝てるよう修行します(笑)!